アイヌ・先住民研究センターの特徴やスタッフなどを紹介します

センター長挨拶 - cipapa uwerankarap itak

民族共生社会の実現に貢献すべく着実な歩みを続けています

センター長/常本照樹

センター長/常本照樹

北海道大学アイヌ・先住民研究センターは、アイヌ民族をはじめとする先住民族の研究に特化した我が国唯一の国立研究組織として2007(平成19)年4月に誕生しました。それ以来、学術的な研究の深化を目指すことはもとより、その成果をもってアイヌ民族の社会的地位の向上と我が国における民族共生社会の実現に貢献すべく着実な歩みを続けています。同年9月の「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の採択や2008年のアイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議などによる社会的関心の高まりのなかで当センターの存在が評価され、発足当時には1名だった専任教員も2010年には6名に達し、北大の各研究科・研究院に所属する兼務教員とともに我が国のアイヌ・先住民族研究をリードする研究拠点として活動しています。

学際的・国際的な活動、社会的貢献の重視、アイヌ民族との協同

学際的・国際的な活動、社会的貢献の重視、アイヌ民族との協同当センターの第一の特徴は学際性・国際性にあります。 従来の我が国の民族研究において中心的役割を果たしてきた文化人類学、歴史学、考古学、言語学などを重視することは当然ですが、それに加えて法学、政治学、社会学、観光学などの専門家も専任又は兼務教員とすることにより、総合大学に設置された研究機関としての地位を活かして、民族を総合的に研究するために不可欠の学際的研究を遂行しています。また、先住民族研究において長い経験と実績を有するアメリカ、カナダ、ロシア、北欧、台湾、ニュージーランドなどの研究機関と緊密な研究ネットワークを構築して、国際シンポジウムや共同研究プロジェクトを実施しています。 特徴の第二は、研究成果による社会貢献の重視といえるでしょう。これはアイヌの人々に係る事象を研究対象とし、アイヌの人々から学ばせていただくことによって当センターが存立していることに照らし当然のことですが、アイヌ民族自身による民族固有の文化の伝承・発展を目指した諸活動、大学や博物館などによる人材養成、国や地方自治体によるアイヌ関連政策の企画・検討などに対し、研究機関としてのインテグリティに配慮しつつ、積極的に関与しています。 そして、第三の、いや最大のというべきかもしれませんが、特徴は、研究面そして運営面でのアイヌ民族との協同を基本方針としていることです。組織としてはアイヌ民族最大の団体である北海道アイヌ協会と協力体制をとり、同時に北海道外の人々も含め同協会に代表されていないアイヌの人々との連携も大切にしながら、センターの活動を進めています。「アイヌ民族との協同」という方針の具体化は、センターの運営にアイヌ民族が参加し、センターの研究テーマや事業についても、 アイヌの人々と語り合う中から発見し、発展させていることにも現れています。 研究センターという名前ではありながら、 教育にも力を入れているところにも当センターの特徴があると言えるかもしれません。まずなにより、将来の北海道、 そして日本のリーダーとなるべき北大の学生に、アイヌ民族をはじめとする先住民族について正確な理解と関心をもたせるべく、専任教員による授業を提供しています。また、種々の講演会やシンポジウムを一般に公開することにより、アイヌの人々やその他の市民にも最先端の研究成果に触れていただけるようにしています。さらに、体系性に配慮した入門的講義によって構成する無料公開講座を3ヶ月にわたってセンターで実施するとともに、札幌市外にお住まいの方のために出前講座も企画しています。これらの活動により、これまで自分たちの民族の文化や歴史を学ぶ機会が十分に得られなかったアイヌの人々とともに学び、一歩先に進む機会を提供するだけでなく、できるだけ多くの市民にアイヌ民族について理解していただくことによって、アイヌ民族の社会的地位の向上に寄与していきたいと考えています。

「あたりまえの社会」の実現を目指して

「あたりまえの社会」の実現を目指して北海道大学の歴史には殖民政策の先駆けとしてその歩みを始めたという側面があることは否定できず、その後の歴史の中にも、大学としての基本姿勢が問われる問題があることは事実です。これらの経験を深く記憶に刻み、そのうえで、アイヌ民族と日本を構成するその他の民族がお互いに理解し合い、支え合って共生できるような未来に向けた積極的な活動を進めていくのが当センターの責務ではないかと考えています。その歩みはまだ十分に速いとはいえないかもしれません。しかし、講演会などに参加し、センターを訪問するために、アイヌの人々があたりまえのように北大のキャンパスを歩いている姿も、ほんの数年前までは見られないものでした。このような「あたりまえの社会」の実現を目指して、たゆまず、進んでいきたいと思います。

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